人より場所にフォーカスし、動機より機会にアプローチする

#juneboku > topics > 人より場所にフォーカスし、動機より機会にアプローチする
created: 2023-03-23 / updated: 2023-07-11

From 小宮信夫「子どもの安全をどう守るか」NHK解説委員室

学校では「不審者に気を付けて」と教えているかもしれませんが、海外ではそうした教え方はしていません。不審者、つまり「これから犯罪をしようとする人」は、見ただけでは分からないからです。「不審者に注意しましょう」と言われても、注意のしようがないのです。むしろ、人間不信や差別意識を植え付けてしまうかもしれません。

たしかに、人間不信や差別を強めるデメリットはありそうだなあ。

海外では「危ない人」ではなく、「危ない場所」に注目しています。「危ない場所」なら、見ただけで分かるからです。

繰り返しになりますが、海外では、「不審者」という言葉は使われていません。
防犯にとって重要なのは、「人」ではなく、「場所の景色」だからです。こうした立場を、「犯罪機会論」と呼びます。

犯罪機会論ってのがあるんだなあ。

日本では、「人」に注目し、動機があれば、犯罪が起きると思われています。しかしこれは間違いです。動機があっても、機会、つまりチャンスがなければ、犯罪は起こりません。動機を持った人が、機会に巡り合って、初めて犯罪が起きるのです。そのため、動機をなくせなくても機会さえ与えなければ、犯罪は起きません。

アルコール依存症患者がアルコールに近づかないようにする、って話も同じかもしれない。

例えば海外の公園では、遊具を「子ども向けゾーン」に集中させ、フェンスで囲んでいます。「大人向けゾーン」とはっきり分けることで、犯罪者が「入りにくい場所」にしているのです。さらに、「子ども向けゾーン」の緑は少なめにして、「見えやすい場所」にしています。
これが、「犯罪機会論」に基づくゾーン・ディフェンスです。「場所で守る」「地域で守る」という発想ですね。

しかし、日本では「犯罪機会論」が普及していないので、子どもが一人で犯罪者と対決する、マンツーマン・ディフェンスが普通です。「防犯ブザーを鳴らそう」「助けて、と叫ぼう」「全力で逃げよう」。これらはすべてマンツーマン・ディフェンスです。

マンツーマン・ディフェンスは、「襲われたらどうすべきか」という発想です。対照的に、ゾーン・ディフェンスは、「襲われないためにどうすべきか」という発想です。
さて、みなさんは子どもが絶体絶命に追い込まれるマンツーマン・ディフェンスを選びますか。それとも犯罪者が犯行をあきらめるゾーン・ディフェンスを選びますか。

環境による影響に目を向けがちに書いた自分のスタンスからすると「なるほど〜」と思う内容だった。

小宮信夫さんのお話は犯罪学・犯罪機会論のもので、このラベルだけ見ると自分の生活にはあまり関係なさそうにも思えるけれど。作業のミスを「個人の努力よりも、仕組みで防ぐ」ことをよしとする考えに通ずるものを感じ、たいへん感心した。マンツーマン・ディフェンスよりもゾーン・ディフェンス。たとえば、ハラスメントが発生しにくい場づくりってのもあるよね。

2023-03-23


2023-07-10追記。

@ikujidays: 小1の娘が学校から帰ってきて「今日ね、校長先生と遊んだの!遊ぼうって言ったらいいよって言ってくれて、校長室に入れてくれて一緒に折り紙したの」とニコニコで教えてくれた。
娘のコミュ力もすごいけど、一年生と折り紙で遊んでくれる校長先生も素晴らしいな。

@ikujidays: このほっこりする校長先生エピソードに「女児と校長室で2人きりでなにかあったら‥」って引用が何件かついていたのですが
安心してください。
娘の校長先生は女性です!!!!!!
それにしても、校長先生すら疑いの目で見てしまうとは、嫌な世の中だよねぇ‥

たまたま見かけたこれらのツイートと、そこに寄せられる周辺の声についてメモする。

  • 「校長先生」とだけ書かれるとデフォルトで男性を想像するバイアスが現代日本社会にはありそう
  • 「女性だから安心してください」に感じる危うさ
  • 「校長先生すら疑いの目で見てしまう、嫌な世の中」に感じる危うさ

「校長先生だから大丈夫」「女性だから大丈夫」というのは、安全を「個人」や「個人の属性」に求めるスタンスなのだろう、と解釈した。この世には「信頼できる人」と「信頼できない人」がいて、信頼できる人が相手ならすべて安心、というスタンス。

ぼくが小宮信夫さんの文章から学んだことは「もっと場所と機会に着目しましょう」という観点なので、それになぞらえて考えてみると。

  • 校長室は、廊下から中が見えるようになっています
  • 先生と児童は密室でふたりきりにならないように徹底されています

といった環境面での打ち手によって安全と安心を守っていくとよいのではないか。個人や肩書に盲目的に信頼することで環境がどんどん安全から遠ざかっていくと、悪い機会を増やすことにもつながりかねない。

2023-07-10時点で小学校でのボランディア活動に携わっている自分としても他人事ではない。「ぼく個人を信じてください」と言うつもりもないし、なんだったら自分でも自分のことを信じていないというか、状況さえ揃ってしまえば自分も不正に手を染め得る、くらいの自己認識を持って、そのような状況をとにかく回避できるように努めていくつもりである。

Mentioned in topics

Topics 2023
2023-12-31

無職でスタート、自分探し カウントダウン黒磯→カウントダウン松本 那須塩原市に住んでみた 環境を変えてみての気付き2023-Q1 転生したらjunebokuだった件 小学校でのボランディア活動 週刊少年オオワダとオオワダ発声練習 音声コンテンツきっかけで Teacher Teacher Project MY Ethereum Japan Kairan 毎日なにかしらコミット 強烈なリーダーシップを

自分の◯◯をやっていく2023
2023-12-20

shikakunの『わたしのビート』に触発されて書き始めた。 わたしのビート —shikakun 「お疲れ様です」とか「お手数ですが」はプロトコルのようなもので、話す前に一拍あけることで自分らしいリズムをはじめる機能としての言葉なのだから、もはや「もしもし」に誰もツッコまないように、疲れてないのにお疲れ様とはこれいかに、みたいなツッコミはめんどくさいなあとずっと思っていた。それはそれとして、そうい

要素のせいにできたら楽なのかもしれないけど
2023-09-06

出来の悪い椅子があって、4本ある木の脚のうち1本に強い負荷がかかるとする。何度か座っているうちにその脚は折れてしまう。折れてしまった脚を取り替えたとしても、強い負荷がかかる構造が変わらなければ新しい脚もまた、やっぱり折れてしまうだろう。 「ネットワーク思考」というページに書いた通り、ぼくは対象の構成要素よりも構造の方に着目しがちな思考のクセがある。先の椅子の例でいえば「どうしてこの脚が折れたのだろ

構造を変えずに要素だけ入れ替えても問題は解決しない
2023-07-13

松谷創一郎さんの会見を視聴した。知らなかったことをたくさん知れたのでありがたい。2023-07-11から3日間くらいかけてじっくり視聴した。松谷創一郎さんのことは、これ以前には知らなかった。もしかしたら記事を読んだことくらいはあったかもしれない。 文化社会学、社会情報学 記者会見とのことだけれど学会発表のような雰囲気で進んでいて、ぼくにとっては見やすい・聞きやすい内容だった。ラップトップを開いて資

Mentioned in days

In 2023-07-10 Mon Read full day →

個人と機会

今年は小学校に関わっているので、この手の話題には目が向いてしまうね。

@ikujidays: 小1の娘が学校から帰ってきて「今日ね、校長先生と遊んだの!遊ぼうって言ったらいいよって言ってくれて、校長室に入れてくれて一緒に折り紙したの」とニコニコで教えてくれた。
娘のコミュ力もすごいけど、一年生と折り紙で遊んでくれる校長先生も素晴らしいな。

@ikujidays: このほっこりする校長先生エピソードに「女児と校長室で2人きりでなにかあったら‥」って引用が何件かついていたのですが
安心してください。
娘の校長先生は女性です!!!!!!
それにしても、校長先生すら疑いの目で見てしまうとは、嫌な世の中だよねぇ‥

これは考えておくことがあるな〜と思って人より場所にフォーカスし、動機より機会にアプローチするに追記しておいた。「犯罪機会論」という概念を知ってから「機会」に着目できるようなってきたと思う。

In 2023-03-23 Thu Read full day →

Archives : 2,609 days